カレカノ

―…次の日


あたしは中庭に慶太君を呼び出して自分の気持ちを伝えた。


殴られるのもひどい言葉を言われるのも覚悟していたのに…―


慶太君は最後の最後まで、優しくて何も言わずにあたしの別れ話を受け止めてくれた。


「友達に戻ればいいんだよ、朱希に泣かされたら俺が殴ってやるから」


「あはは…あたしがボッコボコにするから大丈夫だよ」


慶太君の顔が一瞬、ひきつったような気がする。


「じゃあ、また」


「うん…ありがとう」


そう言って、立ち去った慶太君の姿を小さくなるまで見送ると、なぜか涙が出た。


あたしが悪いのに…―


あたしに泣く権利なんてないのに…―


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