カレカノ

「いい奴だよなー…慶太ってさ」


「朱希…うん…あんたの100倍はいい奴だよね…」


グズッと鼻水と涙でぐじゃぐじゃなみっともない顔を見て朱希が笑った。


「ブス」


「馬鹿」


顔を見合せ、いつもみたいに罵って笑い合った。


「これで段階踏めるな…」

「なんのッ!?」


中庭には桜が咲き乱れて、風が花びらを散らしている。


「優しくします」


緩やかな空気の中で朱希が言ったKYな台詞に呆れたように笑い、繋いだ手の体温を感じていた。


「お願いします…」


朱希は思わぬ言葉に驚いたような顔をして、ギュッと手を強く握ってくれた。


「「大好きだよ」」


あたし逹は同時に呟いて、また笑った。


-END-
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