カレカノ


帰り道、家へ戻るのかと思いきや全くの逆方向。



「どっか寄るの?」



「あ?まだあんのかなと思ってさ…」



ハッキリしない朱希の答えに首を傾げながらも、それ以上は何も言わず黙った。


「……」



しばらく走ると朱希の自転車を漕ぐスピードが上がりひょいと顔を覗かせると懐かしい見慣れた公園が見えた。



「懐かしい…」



そう小さく呟いた柚葉の方を振り向き笑うと



「…だろ?良く来たよな?ここの公園」



何故か自慢気な朱希に頷いた。



そこは小さな頃に学校が終わると遊びに来たタコの形をした滑り台とブランコのみのシンプルな公園。



入り組んだ住宅街の中にある為に学校の友達もあまり知らない秘密基地的な公園だった。



< 76 / 240 >

この作品をシェア

pagetop