カレカノ
階段を下りると昼が近づいたからなのか、台所から食欲をそそるカレーの匂いがする。
「おばさん!ありがとうございました!調子も良くなったので帰ります!」
「えっ!?お昼ご飯食べていかないの?」
「……何から何まで悪いですから」
申し訳なさそうに答えた柚葉に笑顔を向けると手招きをして台所へ招いた。
「おばさんのカレーは美味しいのよー?隠し味にチョコレートとか玉ねぎのすりおろしとか入ってて!食べて行かないと損よ?ほら!座って?コーヒーあるから入れるわよ」
強引に柚葉を座らせ近くにあったカップにコーヒーを注ぎ差し出した。
「…いただきます」
まだ温かいコーヒーの緩い湯気を眺め飲む。
「朱希と喧嘩でもしたの?」
「いえ…してないですよ?」
2人は喧嘩という喧嘩はしない。
…というより不毛な言い争いが漫才に変わってしまう。