月と太陽の恋愛関係
でも、まだ二宮が行かないって言った訳じゃない。


少しは可能性がある。



「ねぇ二宮。」


ゴクッ、と唾を飲み込み、なるだけ自然に声を掛ける。

「あぁ?」と不機嫌にこちらを見る二宮。


うぅ…

駄目だ、こんな事で諦めんな!


「あ、あのさっ、」


自分を励ましながら言葉を紡ぐ。


「今日…花火‥行かない…よね…?」


駄目だ。


行かないよね、ってもう完全に諦めてるじゃん…。

「花火…」

と、少しだけ考え始めた二宮。


もしかしたら…


「行かね、だってうるせぇし。
まっ、お前程じゃねーけどな。」


って言う、期待は二宮の心無い言葉に粉々に打ち砕かれ、オマケにグサリと刺さる悲しい一言まで付いてきた。


「そうか…そうだよね!」

必死に笑顔を作るけど…駄目みたい。


「ーっ…、ゴメン買い物行ってくるね!」

徐々に溜まって行く涙をこらえ、家を飛び出した。


その瞬間溢れ出す涙。


俺、いつからこんなに弱かったっけ…?


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