月と太陽の恋愛関係

しばらくして涙が止まり、俺はやっと歩き出す事が出来た。


「いらっしゃいませー、って夜月ちゃんじゃないか。」

落ち着いた声が俺の脳の中を響き渡る。


俺が辿り着いた場所。


そこはとても温かい喫茶店"ひだまり"だった。


「そこに座りな」と目の前の席を指差す。

俺はその指の先の席に腰掛けた。


この匂いも

木の温もりの溢れる店内も

マスターの優しい笑顔も


全てが懐かしく、愛を感じた。


例えるなら、自分のふるさと。

自分のお母さん、お父さんが笑顔でいつでも待っていてくれる。

近所のおばさんが何気なく挨拶をしてくれる。

おじいさんとおばあさんが仲良く散歩をする。


そんなのどかでほっ、と息をつけ休憩の出来るふるさと。


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