月と太陽の恋愛関係
浴衣を抱えた俺の背中をドンッ、と押して、店の奥に入らせてくれたマスター。

笑顔で手を振りながら、奥に行くよう促す。


俺はそれに流され、辿り着いたのは小さな個室。


「浴衣、かぁ…。」


昔よく憧れて見ていた事を思い出す。

男っぽい俺には一生着れない代物だと思ってた。


今自分の手の中にある事だって信じられないぐらいだ。


本当に、自分が持っていても良いものなのだろうか…。


「こんにちわぁーっ!」

突然背後から威勢のいい声が聞こえた。


ビクン、と体が跳ね上がるのに自分でも分かった程だ。



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