月と太陽の恋愛関係
「…ん」
ふと瞼を開く。
もう、夕方なのか…
窓の外はオレンジ色に染まっていた。
時刻は五時十五分。
六時には帰ってくると神埼は言っていた。
「迎えにいってやるか…。」
今日は一回も体を動かしていないことに気付き、俺はスクッ、と立ち上がり大きく伸びをした。
「っつか、働いてる場所分かんなくねーか…。」
行こうと思い、歩き始めたところで重要な事を思い出す。
アイツはただバイトに行って来ると言っただけで何処でどんな仕事をするのかまでは言っていなかった。
「駄目じゃん…。」
ふと、カレンダーに目をやる。
赤く丸を付けられた今日の日付。
その横にはバイト初日と書いてある。
駄目だ。
それから近くにあったメモ。
『バイト先の電話番号』と書いてあり、その下のはいくつかの数字がキチッ、と並んでいた。
「これか…。」
俺はすぐさま電話帳で調べ、やっと見つけた。
「喫茶店、ひだまり…。」
そこはここからそう遠くはない場所にあった。
それから俺は住所をメモに取り、家を出たのであった。