月と太陽の恋愛関係
気が付けば街中を歩いている俺。
マジで何がしたいんだよ…。
「ねぇ、ねぇ見てー、あの人かっこ良くない?」
「ほんとー、あたし声掛けようかなー?」
周りから聞こえる声はいつもよりもずっとずっとうざく思えた。
ふと、進める足を止める。
俺の数メートル前に居る女の背中に見覚えがあった。
「クロ…。」
どうやら一人らしい。
何であんな奴の事を覚えていたのかは俺にも分からない。
俺の背中を汗が伝う。
そのまま金縛りにでもあったかのように俺は動けなくなった。
ヤバい、
こっちを向いてしまう。
「あっ」
遠い筈なのにはっきりと聞こえた。
そしてその整った顔をほころばせる。
その表情に何故が寒気がした。