月と太陽の恋愛関係
「勿論奢りだよね!」


そう言ってニコッ、と笑う。


「何で俺がお前の分まで払うんだよ。
金が勿体ねぇ。」



フイッ、と視線を逸らす。

こんな言葉、素直に奢る、なんて言うかよ。

そう思って遠くの空を眺める。


ふと、俺の手が小さな手に包まれる。

「…んだよ。」


その温かさに俺の心までほっ、と熱が灯る。

「二宮が迷子になると困るから。」

そしてより力の入る小さな手。


「あそ、お前こそなんなよ。」

俺も握り返す。


キュッ、と何かが俺の心臓を掴んだ。


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