月と太陽の恋愛関係
夜月の行く場所なら大体分かる。

きっとあの喫茶店だ。


その時、向かい側からカランコロンと下駄の音。

夜月だ。


うつむき歩いていて、顔はいまいち見えないが分かる。
間違いない。

何かブツブツと一人事を言っている。


徐々に縮まる距離。

そして

「だから二宮は行かないんだってば!」

突然叫んだ夜月。


「どこに?」

驚いたように顔を上げる夜月。

しまった!、という顔をしている。

「で、俺がどこに行かないって?」


分かりながらも聞いてみた。

「ぇ?それは…「花火にか?」

顔を伏せる夜月。


「誰も花火見ないって言ってねーし。」

まっ、見る気はなかったけどな。


顔をはっ、と勢いよく上げる。

その目はキラキラと光っている気がした。


「仕方ねーな、行ってやっから。」


実は特別な場所を知ってるんだ。

「嫌なのか?」

「ううん。」


首を振って笑う夜月。

その笑顔に不覚にもドキッ、としてしまう。


今夜は特別な日になりそうだ…。


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