月と太陽の恋愛関係
「王子ー何見てるんですかぁ?」
窓から乗り出すように外を眺める俺に気付いた女子の一人がのったりと声をかける。
「あっ、なんでもないよ。」
言った瞬間に俺の隣に来て、同じように外を眺め始めた。
そして、
「姫ですね?」
ニコッ、と笑いながら言った。
「そ、そんな事ないよ。」
「ありますって、だって王子の瞳が寂しさを放っていたんですもん。」
「寂しさ…?」
この子の言っている意味が分からない。
寂しくはない、筈だ。
すると、
「またまたー、一緒に帰れないからですよね?
ふふっ、姫が羨ましいっ!」
そう楽しげに語る目の前の子。
「ちょっと、叶っ!
王子を独り占めしないのっ!」
「すいませーん」
かなえと呼ばれた子はニコッと笑って走り去って行った。
「寂しさ、か…」