月と太陽の恋愛関係


俺は小さい頃に母親を失った。


事故だった。



あの時の事は三歳だった幼い俺の記憶にくっきりと残っている。



あの事故が起きた日はお母さんだけが買い物に行っていた。


俺とお父さん、それから産まれたばかりの弟は留守番。

三人でテレビを見ていた時だった。



“プルルルル プルルルル”

突然の電話のコール。

いつもの音の筈なのに、なぜか嫌な予感がした。


お父さんは電話をてにとり、うんうん、と何度も頷いていた。


それからしばらくして、

「サツキが…

はい…分かりました…今行きますので…」

そう言って力なく受話器を下ろした。



そして、

「今から病院に行くぞ…」


そう言って何も持たずに駆け出した。

俺は小さな弟を小さな体で一生懸命に、大切に運んだ。


そして車に乗り込むともの凄いスピードで車は急発進した。


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