月と太陽の恋愛関係


紅白の応援が俺の鼓膜を震わせる。


俺もいる筈のグラウンド。

でも俺は体育祭には参加しない。


日焼け、したくねーし。


保健室の白く薄いカーテンがヒラヒラと揺れる。



なんとも暇な時間だ。

校内に先生は一人もいない。


みんな体育祭に参加しているのだ。



時計を見ると、もう全員リレーの始まる時刻を差していた。


パンッ、と威勢のいいピストルの音。


夜月も走っているのだと思うと、自然とその光景が頭に浮かんだ。



体育の時、リレーの練習でのアイツの姿は俺でもかっこいいと思った。

でもそれはみんな同じ。
女子なんて悲鳴を上げていた。

男子だって歓声を上げていた。



だからアイツを見せたくはなかった。

アイツを俺の中に留めたかった。



でも出来ない。

きっと今の俺にそんな資格ないから。


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