月と太陽の恋愛関係
「…」
暗い闇の中に、二宮の靴音だけが静かに響く。
俺は二宮の背中の温かさと、
二宮の歩調と同じペースの揺れが心地良くて、瞼を閉じればすぐに夢の中へ落ちていきそうだった。
「なぁ…」
そんな中で響く低い声。
「ん?」
俺は重い瞼をこじ開けて横から二宮の顔を見た。
二宮の横顔は正面から見たときよりも何だか大人っぽくて、心臓がドキッ、と跳ねた。
「太陽ってさ、何で有ると思う?」
ウットリと横顔を見ていた俺は、急に現実に引き戻された。
「う~ん…
皆に笑顔をあげる為、かな…?」
「ふ~ん」
「あっ、じゃあさ、月は何で有ると思う?」
「月、かぁ…
お前は何で有ると思うの?」
「う~ん…
そうだなぁ…
太陽を隠す為、かな?」
「なんだそれ」
自分でも言っている意味がよく分からない。
でもそんな気がしたから。
「太陽の光をさ、隠すんだよ。
暗闇で、
それでさぁ、皆に見られないようにすんだよ、きっと。」
「ふーん」
「何だよ、ふーん、って、
んじゃ二宮はどうして月が有ると思うの?」