月と太陽の恋愛関係
「お前さぁ…」
突然、言葉を発した二宮。
俺はその声にビクッ、と体中が反応した。
そんな俺の様子を知らず、二宮は続ける。
「いや、言いたくなかったら別に言わなくてもいいんだけどよ…」
「うん」
「お前の親って居ねぇの?」
一瞬ピクッ、と心が動いた。
「う、うん…
お母さんは俺が五歳ん時に、
んでお父さんは去年…。」
「ふーん…
んじゃお前って一人であの家住んでんの?」
「うん、まぁ…」
「ふーん」
それからは何事も無かったかのようにスタスタ歩く二宮を必死に追って、別れ道。
「俺、この先だから。
気ぃ付けて帰れよ。」
こっちを一回も振り返ること無く、歩いて行った。
俺もクルッ、と振り返り、今来た道を戻る。
ふいに後ろが気になって後ろを振り向いた。
そこには太陽のような二宮ではなく、ただ地面を照らし続ける、街灯の悲し気な光があるだけだった。
俺はもう一度振り返り、今度こそしっかり歩き始めた。