月と太陽の恋愛関係
~♪
ケータイの着信音が鳴った。
めったに鳴らない着信音のせいで、俺の体がピクッ、と反応した。
ケータイを開くとそこには見覚えのない番号。
「もしもし…」
恐る恐る着信ボタンを押した。
「もっしー!
つか、何太陽テンション低いしぃー!
ワクワクとかしねーの?」
「俺はお前とは違うからな。」
「なんだよー、冷たいなぁー
そんなことじゃ女の子が逃げちゃうよ?」
「女何か興味ねぇ!」
ケータイの奥から聞こえる陽気な声は、間違い無く雄舞だった。
女遊びに異様にテンションが上がっているらしく、かなり声がデカイ。
そのお陰で俺はケータイを耳から5~6㎝離して通話しなければならなかった。
「あ、あぁ、
わりぃ…。」
申し訳なさそうに、でも全く反省のしていない雄舞の声に、俺はハッ、と我に返る。
「おぅ、
大声出して悪かったな。
んで、何か用?」
「あ、おぅ
今から迎え行く。
ただそれだけ。」
俺の言葉に驚いているのか、少しだけ低くなった声。
「ふーん。」
「あっ!
今どこに居んの?」
思い出したように急いで、早口に聞く雄舞。
「まだ家の前。」
「OK!
そんじゃ、今から行くから待ってろよ!」
突然、テンションを取り戻した雄舞の声が、油断し、ケータイを耳に近づけていた俺の鼓膜を震わせた。