月と太陽の恋愛関係
「ハハッ、

何度も何度も、同じ動作を繰り返していた神崎。

だが、どうにもならないと分かったのだろう、動きを止め、悲しげに俯いた。


「いい覚悟だな。
そのままその格好で死ぬのかよ…

笑えるな。」

出来る事なら今すぐに抱き締めたい。


でも、俺にはそんな事出来ない。

冷たく言い放った言葉は、自分で言った筈の言葉なのに、何故か俺の胸は締め付けられた。



「う、五月蝿いし…

っつーか死のうなんて思ってない、

ってなんであんた此処にいんの!?」

クルッ、と振り向いた神前は目を丸くして俺を見る。


その顔でそれを言うのは反則だ。

いくら俺が姫だとしても、実際は男な訳で、自然となる上目遣いが俺の理性を揺さぶった。

「さぁ、なんででしょうね?」

このままでは駄目だ。

俺は立ち去ろうと背を向ける。

「ちょっ、ちょい待った!!」

「ん」


出来れば後ろは見たくなかった。

でも必死な声についつい反応してしまう。


「何か用?
無いんだったら帰らし「助けてよ。」

助かりそうなのに逃がしてたまるかっ!


「だから、助けてって。」

「何で?」

「な、何でって‥

そりゃ、此処で死ぬのは嫌だし?」

「ふーん…」

それって、やっぱり死ぬ事考えてたんじゃん…。

「あっ、じゃあさ、助ける変わりに何か頂戴よ。」

「は?」

「何?嫌なの?」

困った顔をする神崎。


これを見て楽しいと思う俺はSなのだろうか?

「ふーん、じゃあさようなら。」

「あーっ、待って待って!
後でジュース奢るからぁ!」

「はぁ!?」

「だから、頼む!!」


何を言うのかと思えば、ジュースで助けろ、って…


俺はガキか!?

今時ガキでもそんなんで助けねぇって…。


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