月と太陽の恋愛関係
「お前さぁ…」

「は、はいっ!」

「そんなんで俺が助けると思ってんの?」

ありえないだろ…ジュースとか…。


「じゃあ…

ファミレスでどうですか?」

「お前…

アホだろ。」

コイツの口からは子供を騙すような物しか出て来ないのだろうか…。

俺は半ば呆れつつ、言った。


「はい?」

それをありえない、と言うように聞き返す神崎。


「じ、じゃあ何が欲しいんだよ…」


もう既に気の利いた物が出て来ないのか、唇を尖らせブツブツ、と呟くコイツ。

「うーん…

お前のファーストキスとか?」


「ッ!!」


やっぱり俺はSなのだろうか?

コイツの赤く染まる頬にもっと苛めたいと言う感情の波が押し寄せる。

「なっ、何で…」


高鳴る鼓動を抑えつつ、神崎の顔に近づく。



「死にてぇの?」

「わ、わわわ分かった、す、するから助けろ。」


俺に向かって命令口調でいいと思ってるのだろうか。

でも、する、と言ったのだから今回だけは許してやろう…。


そして気が付く。

コイツは意外と綺麗な顔をしていると言うこと。


近くで見れば普通に可愛いと思うのだが…


俺はそんな気持ちを隠すように瞼を閉じた。



「チュッ」


小さなリップ音が木霊す。



これでOK、とはいかない。


「お前…


馬鹿か?」



「ペチッ」

俺は神崎に渾身のデコピンをお見舞いしてやった。


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