魔法使いですが、何か?

遂にこの状況に耐えきれなく
なった友達Aは
こっそりと僕に近づいてきて
ぼそっと問いかけた

「なぁ、昴……
あの人誰だ?お前の知り合いか何かか?」

「いや、突然現れた…」

なんと表現すべきだろう
本当の事
即ち、「この子魔法使いだよ!」なんて言ったなら
確実に白い目で見られるだろう

「…日本大好きな留学生だ」

「へぇ、留学生、か
何?さっきの手ももしかして……彼女なのか?」

「あぁ、ちょっとしたアクシデントで、な」

あながち間違いじゃない
異世界からの留学生
そして
ちょっとしたアクシデントで
井戸の中から出てきてしまった

うん、間違いではないだろう
ただ重要な所を言っていないだけだ

友達Aは納得したように
ふぅんと呟いた

一方、お騒がせ娘のミッシェは
さっきから自分の言葉を
一切聞いていなかった僕達に
苛立ちを見せ始めた

視線が突き刺さりそう…

つか、刺さってる気がする
何私を差し置いて勝ってな
話をしているのよ!

と、視線が語っている


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