魔法使いですが、何か?
母さんは満面の笑みで
二回頷き、ミッシェを優しく
抱きしめた

そして頭を撫でながら言う
「そぅ…大変だったわよね
いいわっ!!
留学が終わるまで
ずっとここにいていいからね!」

………………はい?


母さんは未だミッシェを抱きしめたままだが
僕の脳は言葉の理解が出来ていなかった

…母さん、ちょっと待ってくれ
河井家には
色んな事真っ盛りな
健全男子(15…今年で16)
が一人息子としているんだぞ

いいのか?
この展開はあっていいのか!?

いや、そりゃ
僕がここまで連れて来たんだけどさ…
それを差し引いても
「ずっと」はないだろう!

僕は言葉では表しきれない
いやな予感がした

そう、このお母様はこの程度で
収まるような
軽い暴走なんかしていなかった

もっと凄まじかった

「あ、そういえばお部屋が
空いてなかったわね……
ごめんなさいね
今日は昴と一緒の部屋で
いいかしら?」

お母様ぁぁぁーーっ!?!

声を出せずにただ
あたふたと手を振って
パニックに陥った

端から見ると
僕は酷く滑稽である
我ながら情けなかった


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