【短】知りたい。もう少し。
抜けた『青』
初めて出会った時の彼は、真っ直ぐな視線を私に向けていた。
無愛想な口元はニコリともせずに。
キツい一重瞼は、私に恐怖を感じさせて……。
──ガラガラッ。
汗を拭いながら、私は今日も早朝の教室のドアを開ける。
そこには私より先に着いている彼がいて。
真っ直ぐ向けられる視線は依然真っ直ぐなまま。
でも、ニコリともしなかった彼の口元には、微かな笑みが浮かぶようになった。
そして、相変わらず、ゆったりとした時間の流れの中にいる彼は、酸素じゃなくて、深海の水を吸って生きてるんだって私に思わせる。