隣のヤクザさん
「ねーちゃーん!」
背後から、弟の幸(さち)の可愛らしい声が聞こえてきて、私は伸ばした腕を引っ込めて笑顔で振り向いた。
直ぐに、きらきらした笑顔と小さな体が腰のあたりに飛び込んでくる。
柔らかい体をきゅっと抱きしめると、くるしいよう、と言いながら身をよじるそれがまた、可愛くてたまらなかった。
緩んだ表情のまま、再び空を見上げる。
眩しい程の快晴。
斜めに走る飛行機雲。
耳をくすぐる蝉の大合唱。
何かいい事がありそうな
そんな予感がした。
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