隣のヤクザさん
宅配便かな?
……あ!
この前ネットで注文した圧力鍋が届いたのかもしれない!
頭の中で、大きな箱に収まった圧力鍋を思い描き心を躍らせながら、玄関へと向かう。
後ろからぱたぱたと足音が続いてきて、幸もついてきたのだと分かった。
内鍵を開けて、ところどころさび付いたドアを開ける。
このマンションはかなり古く、結構がたがきてしまっている。
キイキイという耳障りな音に眉を寄せつつ、私は視線をドアの先に向けた。
一番はじめに目に飛び込んできたのは、真っ黒なサングラスだった。
「ほへ…?」
間抜けな声が漏れて、ぽかんと口を開ける。
後ろに撫で付けられた前髪
シャツからちらりと見える金のネックレス
高そうなスーツに身を包んだ、すらりとした長身のその男の人は、体を45度に曲げて頭を下げて。
「え、っと……はじめまして、隣に越してきた鮫島です。」
と、もごもごと言った。
.