大切な1ページ
「「先生~、さよ~なら皆さ~ん、さよ~なら」」


「気をつけて帰るのよ~」




挨拶と共にまだ体より大きく見えるランドセルを背負って帰る生徒たち。





「じゃ、さやかちゃん帰ろう」


『うん♪♪』




まだ私たちの後ろに竜くんがいたのに…気付くこともなく私と慎くんは教室を後にした。




「ねぇねぇどこで遊ぶ?」


『さやの家にね、ちっちゃい頃に乗ってたブランコがあるんだぁ。だからさやの家で遊ぼうよぉ』


「うん、いーよ。じゃ、僕の家あっちだからランドセル置いたらさやかちゃんの家に行くね」


『はーい。待ってるね♪』




私たちはとりあえず一旦お互いの家に帰る為、バラバラに分かれた。






慎くんと分かれ一人で歩く帰り道。





トタトタトタ…





あれ……?
私以外に後ろから歩く足音が聞こえる。


怖かったけど反射的に後ろを振り返ってしまった。




そこにいたのは…





『竜くん♪♪』


「………」





でも竜くんは何も答えようとはせず顔は怒っていた。





『竜くんどうしたの?』


「僕と帰ると思ってたのに…あの子だれ?」


『慎くんって言ってね、さやたちとおんなじクラスなんだよ♪今日これから遊ぶの。竜くんも一緒に遊ぼうよ』


「僕は慎くんやだ。」




そう言うと私の手を握り足速に走り出した竜くん。



『え…?竜くん手痛いよぉー』


「これからは僕とおうちに帰ろうね」


『うん♪♪』





今思えば…竜くんの焼きもちと捉えられる行動にまだ幼かった私は気付くことができなかった。
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