大切な1ページ
病院内に入ると私は無性に怖くなった。


病院は正直、怖いイメージしかないから。



風邪をひいて行くと痛い針を射されたり。。。


あの独特な匂いも嫌い。




私が大嫌いになる要素をいくつも持っている病院という場所は本当なら行きたくなかったけど大好きな妹に会う為、怖い気持ちを押し殺しばぁちゃんの後をちょこちょこと付いて行った。







【263 加藤 多恵子】


そこに書かれた名前は私のお母さんの名前。
5歳だった私は漢字は書けなかったけど何度か目にしていたのを記憶していて読むことはできた。




『お母さんの名前だぁ』


「この部屋の向こうにお母さん達がいるから行こうか」


『うん♪♪お母さ~ん』



まだ小さかった私にとってその扉はとてつもなく重く感じたけれどそんなの関係ない。




「あら、さやか来てくれたの?」


『うん♪♪赤ちゃんは?』


「さやかったら昨日からずーっとそればっかりなのよ。本当に大好きなのねぇ」



ばぁちゃんが私の頭を撫でながら言う。




「さやか、まだここには赤ちゃんいないのよ。赤ちゃんは赤ちゃん達がいっぱいいる部屋にいるの。お父さんと見に行ってごらん」


『はーいっ!!』




私はお父さんに手を繋がられ赤ちゃんのいる場所に向かった


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