吉原くん炎上す

・状況説明


下諏訪駅の改札まで吉原くんは見送ってくれた。

滞在時間はほんの5時間程度。

逞しくなった吉原くんはちょっとカッコいいなと思っていたけど、なんだか恥ずかしくてそんな事は言えなかった。

でも、この件が片付いたらまた会って色々話したいねって別れ際に言ってみた。

吉原くんは「うん」とにっこりと微笑んだ。

寂しかった。

小学生の時、夏休みに田舎の親戚の家に泊まって、従兄弟といっぱい遊んで、それから実家に帰る時の寂しさに似ている。

あの時の私はあの場所から離れるのが寂しかったのか、それとも従兄弟と別れるのが寂しかったのかどっちだったんだろう。


少なくとも今の寂しさはわかる。

これは吉原くんと別れることが寂しいんだ。
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