吉原くん炎上す

彼は全然そんな事は気にしていないように見えた。

正直、表情もいつも暗いのでわからなかっただけかもしれないけど。


「ありがとう」


そう言って私が差し出した携帯を右手で握ると回れ右をしてそのまま後方のドアから去っていった。

会話らしい会話とは言いがたいけど、これが吉原くんとの初めての対話だった。


別に携帯のウェブページを見ちゃったのは罪悪感も何もなかったけど、彼の態度があんなんだったのでなぜか後ろめたい気分になった。

もしかしたら見られたくないものだったのかな?

でも全然平気そうだったしなあ。


とにかく、吉原くんは学校には友達らしい人はいないけど、携帯を持っている事。

そして、ブログで何かを告白しているんだって事を私は知った。



中身はまったく知らないけど。
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