吉原くん炎上す

「吉原くん、実は養子縁組しようと考えていたみたいなんです。それについては知っていましたか?」


するとお母さんは顔を伏せ、小さな声で答えた。


「ええ、養子縁組先の方から何度かご連絡を頂いたので・・・」


「吉原くんはそれも気にしていました。吉原くんがお母さんを捨てたって思われるんじゃないかって」


私がそういった瞬間に嗚咽が漏れた。

吉原くんのお母さんだった。

目元を左手で押えながら声を押し殺して泣いていた。


「ごめんなさい・・・」

そう言ってからもしばらくの間、その嗚咽が治まることはなかった。
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