吉原くん炎上す
私がそんな暗くて目立たない吉原くんの事を知っていたのは、席が隣だったからだ。
入学してすぐは名前の順に席が決まっていたから。
そんな訳で吉原正孝くんと吉田麻美さん、つまり私はお隣同士だった。
「吉田です。市内の西中出身です。仲良くしてね!」
なんて感じで私ががんばるわけもなく、吉原くんも当然ながら私に話しかけなかったので5月も終わりかけていたけど未だに一言も話をした事はなかった。
でも、隣の席にいるので私は吉原くんの事をちゃんと認識はしていた。
ちゃんとこのクラスに吉原くんという暗い人が存在している事。
彼は休み時間には本を読んだりぼんやりしたりして過ごしている事
こんな些細な事だけれど、この二つを知っているのはこの世界に私しかいないに違いない。