吉原くん炎上す
私はなんとか自分自身を奮い立たせる。
こんなサイコ野郎に負けちゃダメだ、って。
こんな酷いことをする奴をほうっておいたらダメだ、って。
「そんな事決まってるじゃない」
声を張り上げる。
すごく怖かったけど。
「あんな事が許される訳がない。吉原くんは歪んでる。でもその歪みがこれからもっと大きくなっていく。今のうちにとめないといけない。なんとしても」
「じゃあ、どうする。僕はやめないよ。僕は変わるんだ。その為には今している事をやめるわけにはいかない」
淡々と答える吉原くんの顔は前の鉄面皮に変わっている。
「どうする?誰かに言う?警察とかに相談する?」
吉原くんの圧力が私を逆に追い詰める。
本当は私が追い詰める側の立場のはずなのに。
「相談なんてしない」
私はわずかばかりの勇気を振り絞る。
そう、それは決めていたんだ。
この歪みは今、一時停止するだけでは収まるわけがないんだってわかっている。
この先、この大きな歪みによって引き起こされるであろう悲劇を止めるんだ。
その為には…。