恋は甘く、ときにはほろ苦く…(完)
「そんなこと言って~!桜も恋しないと、いけないよ!せっかくの一生で一度の青春!私も恋した~い」
由利は一人で妄想の世界へと旅立った。
少しでもスカートを短くしようと、膝ぎりぎりまで折る。
「この長さまで折るの、三回だよ~」
その数字がいいのかよくないのかわからない。
「大洲さんと、篠崎さん。」
私と由利の名字を美術部の部長さんが呼んだ。
この先輩は、もう私の憧れ。
青木 瑞穂さん。
名前のように可愛らしくて、そして何かあるとバシッと言うところがかっこいい。
何も結んでいない髪は高校生らしく、ネクタイはネクタイピンで止められ、スカート丈も膝下なのにとてもじゃないが中学生には見えない。
「清楚」と言う言葉が似合っていて、もう全てが私の憧れの存在。
「青木先輩。」
昇降口で待っていると、やってきた。
やはり、可愛らしい。