恋は甘く、ときにはほろ苦く…(完)
いよいよ彼の番。
いつもより、耳を澄ます。
「青木 凪。高1。」
その一言で終わった。
他の部員はもう少しだけ愛想が良かった。
「ごめんね。少しだけぶっきらぼうなのよ。」
青木先輩がそう言っていた。
そしていよいよ私の番。
ゆっくりと立ち上がって、自己紹介した。
「大洲桜です。高1です。よろしくお願いします。」
ペコリとおじきをして、終わった。
由利は、ハキハキと物を言って彼氏なしをアピールしていた。
「ねぇ凪。」
一人の女の子は彼と仲良さそう。
…彼女かな?
そうだよね。
共学校だもの。
いないほうがおかしいもんね。
その女の子は可愛らしくて、小さなリボンを付けていた。
「え~と、染伊咲良と言います。高1です。聖泉女子学校の美術部の人と同じ名前で、驚いています」
天使のような微笑みに、女子の私でもズキュン(死語)ときた。
こうして無事自己紹介は終わった。
「じゃあ恒例の美術部流の親睦会を始めます~!」
嬉しいそうに青木先輩は言った。