【完】俺の守護霊
抱き締める力を弱めて美緒の顔を見ると…
笑ってる癖に、泣いてる。
『可笑しいよ』
そう言いながら笑ってる癖に涙は頬を伝っていく。
『翔が…そんな事言ってくれるなんて思わなかった。
あたしがいるせいで体壊しちゃうって思ったのに、
あたしがいなくなったせいで体壊しちゃうんだもん』
美緒はニッコリ笑う。
…そうだ。
美緒がいる時はすっごく疲れるって思ってたけど、いくら無理しても体調を崩す事はなかった。
逆にいなくなったら…これだもんな。
「…全部美緒のせい。
…だから責任取って戻って来いよ」
『…迷惑じゃない?』
「泣きながら消える方が迷惑」
『鬱陶しいよ?』
「慣れた」
『ねっ、翔』
「何?」
『“戻って来て欲しい”ってさ、“あたしの事好き”って意味だよね?』
そう言って美緒はニヤニヤしながら俺に聞く。
好き…?
それは何か違うような…。
否定しなかったら調子に乗らせてしまうもんな。
「それは違う」