【完】俺の守護霊
…なんだか、頭がおかしくなったのかもしれない。
美緒が愛しく見えてきた。
俺は、横にいた美緒の消えていく腕を引っ張って俺の上に座らせた。
丁度、俺の膝の上に向かい合って座る形で。
『翔…?どうしたの?』
不思議に首を傾げる美緒の後頭部に手を回す。
そして…自分の方に引き寄せながら、唇を重ねた。
…少しして離れると、目を大きく開いたまま、固まってる美緒。
「目、閉じろよ…」
笑いながら言った俺に、美緒は微笑んだ。
「美緒が触れる幽霊で良かった」
最後だし…な。
『……ありがとう』
美緒はかなり薄くなった体で、俺に抱きついた。
俺も美緒の背中に手を回す。
が…強く抱き締めようと思った所でさっきまで俺に抱きついていた温もりが消えた。
……美緒が消えた。
俺の膝の上に、俺があげたあのネックレスを残して――――――