【完】俺の守護霊
……寝てんのか?
一応俺がのんびりと横たわれるように(それなりに値は張る)長いソファー。
体、伸ばせば良いのに女はその半分も満たない面積を使い、丸まっている。
腕と髪の毛で顔が見えない。
近づいて、屈んで覗き込む時に手で髪を掻き分ければ、スースーと気持ちよさそうに寝息をたてて寝ていた。
また……。
もう夏も終わってこれからどんどん寒くなっていくと言うのに。
しかも、寝るならベッドを使えとあれ程言っておいたのに。
猫かよ。
呆れる。
「おいっ!美緒、風邪引くぞ!」
起こす為にトントン、と頭を軽く叩けば俺の指の間からサラサラと柔らかい髪が擦り抜けてまた眠る美緒の顔を隠した。
こんな優しい起こし方では起きないか。
「美緒。」
肩の辺りを掴んで揺さ振る。
と、
『ん…? 』
小さな声が漏れて、ゆっくりとこちらを向く顔。
「起きろ。」
『あれ……?翔、帰って来たの?』
眠そうな声で目を擦りながら起き上がる。
……はぁ。
『帰って来たの?』じゃねーよ……。
「ソファーで寝たら風邪引くって言ってんだろ。馬鹿。」
『あたっっっ!』
軽く頭を叩いて、着替えようと脱衣所へ向かう。
ソファーでは“だって……”と何やら反論していたが、無視無視。
ほんと……この女。
そう、この女が。
俺の今まで平凡だった生活を
崩したんだ……