【完】俺の守護霊
「…すみません。連絡先は…ちょっと」
そう言い頭を下げた。
なんで言われた俺が頭を下げなきゃいけないんだって思ったんだけど…
はっきり言えばこれで諦めてくれるだろう。
そう思って頭を上げると、その患者さんは何やら鞄をあさりはじめた。
おい…俺が謝ってんのに。
すると、何か見つけたらしく、
「これ、あたしの連絡先です!」
そう言って小さな紙を差し出してきた。
…しぶといな。
無理だって言ってんのに!
「だから…受け取れません」
俺は真っ直ぐ、少し困った顔をして彼女を見た。
「受け取るだけでいいですから!
捨てちゃってもいいですから!」
大きな声で言いながら俺の方に差し出す。
ここは廊下。
大きな声で言うので行き交う人がじろじろと見てくる。
…早く立ち去りたい。
そう思った俺は
「…分かりました」
…後で捨てればいいしな。
そう思って受け取ろうと紙に手を伸ばそうとした。