【完】俺の守護霊
すると、取ろうとした紙が彼女の手からすっと離れた。
『…連絡先?』
いつの間にか俺の隣に来ていた美緒が紙を少しの間見て言った。
「あっ」
患者さんは慌ててその紙を取ろうとする。
『こんな物、翔には必要ないもん!!』
そう患者さんに言うと、
美緒はその紙を廊下の窓から外に投げ捨てた。
うわ、投げたし…
俺はその様子を黙って見つめる。
「あ…」
患者さんはもうどうしようも無くひらひらと落ちていく紙をただ見つめていた。
きっと、紙が勝手に飛んでいった風に見えたんだろうな。
美緒が投げたんだけど。
「じゃ…お大事に」
少し可哀そうだと思いながらも俺はそう言うと患者さんに背を向けて中庭へと歩き出した。