【完】俺の守護霊





……香川透。




確かもう小学校3年生になるよな。



生まれつき喘息を持っていて、2、3日前に発作を起こして運ばれて来た。




しょっちゅう発作を起こして運ばれて来ては入院するので、本人は病院に慣れたもんだが、毎回診察する俺はいつもヒヤヒヤする。




「もう大丈夫か?」




俺は透の顔色を確認しながら言葉をかける。




発作の時とは違い、すっかり顔色も良くなった。




「大丈夫だよ!ね、翔先生遊ぼ!」



そう言って俺の手を引っ張る透。



「この前発作起こしたばかりだろ?走ったらダメ。しばらく安静にしないと。」




それに万が一発作を起こした時に俺が一緒に遊んでたとなると、後で先輩に怒られる…。



「だから、走らなくていい遊び!キャッチボールしよーよ!!」


グローブとボールを俺に見せながら笑顔の透。


そんな笑顔で言われたら…



「しょーがないな。少しだけだぞ?」


少しだけ。



俺は透に手を引っ張られながらベンチから立ち上がった。





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