恋愛両立
「あ・・・」
信号が変わって、人ごみの中に敦くんを見つけた。
小さく手を挙げた敦くんは信号が変わると人ごみの間をすり抜けて走ってきた。
「ごめん、待った?」
「え・・あ、ううん、大丈夫。」
なんでだろう、すごく恥ずかしくて、目を見ることが出来ない。
「早紀ちゃん?」
下を向いてしまった私を不思議そうな声で呼ぶ敦くん。
上を向けないんだ、だってきっと今顔真っ赤だから。
「あ、7時から予約してんだよね。急ご!」
そう言ってさりげなく繋がれた手。
なんでこんなに自然なんだろう。
こっちはドキドキが止まらないのに・・・・
「おいしい。」
「でしょー?いっぱい食って!」
着いたお店の奥の個室に通された私達。
テーブルの真ん中に油があって、自分で串カツを揚げれる様になっている。
お肉が苦手なんだけど、魚とか野菜とか種類がいっぱいあって、すごくおいしい。
「嫌いなものとかない?」
「うーん・・・ピーマン苦手・・・」
「マジで?じゃ、ちょーだい。食ったげる」
「敦くんは?嫌いなもの無いの?」
「オレ?オレは何でも食うよ。ゲテモノでも平気かも」
そう言って笑った敦くん。
無邪気な笑顔。
私、この笑顔が好きなんだ。