心を知っていたなら
周りは母親と買い物に行
ったとか、父親の会社へ
忘れ物を届けに行ったと
か言うけど、自分に至っ
てはそんな事が一度も無
かった事が切っ掛けだっ
た。


祖父母は完璧な人だから
あたしが出る幕なんて、
これっぽっちも無かった
んだ。増して祖母は母親
を恨んでいる心をそのま
ま、あたしにぶつけてく
るような人。


「あんたの根性の無さは
お母さんと一緒やね。親
子似た者同士でいいやな
いの!!あんたのお母さん
はあんたを捨てて出てい
った。だからあんたも同
じやわ。」


物心がついてから、この
台詞を言われない日があ
ったのか…その事の方が
不思議だったくらいだ。


そしてあたしは見事にグ
レた。祖父も祖母も、あ
たしが荒れるのに比例し
てあたしを束縛したけど
もう、止められなかった
んだ。
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