心を知っていたなら
集会はいつも、近所にあるショッピングモ-ルの廃
墟の駐車場で行った。ま
さみさんに裏切られたよ
うな胸の痛みと、あたし
達の総長に手を出された
怒りであたしの手は震え
ていた。


地の底を這うような爆音
と一緒に、何百台もの単
車が集まる。一足先に到
着していたあたし達を、
単車のライトが照らしだ
す。


「おはようございます!!」


先頭の単車から降りてき
た副総長に深々と頭を下
げた。


「どした??嘉穂が呼び出
しかけてくるとか、珍し
いやん。何かあった??」


前髪を掻き上げながら副
総長が笑う。副総長は副
総長でありながら、今か
ら自分達のチ-ムに起こ
ろうとしている事を、全
く理解できていないよう
だった。


「副総長、お願いがあり
ます。夜恍姫とその連合
に対して、突撃命令をお
願いします。」


若かったあたしは、苛立
ちに任せて核心を言い放
った。周りがどよめく。
副総長自体も驚いたよう
な顔であたしを見つめて
いた。


「今からすぐに、お願い
します。」

「嘉穂…何があった?」


副総長の顔が険しくなっていく。それを見兼ねた美也子が口を開いた。


「総長の引退と、引退の
理由に風雷鬼が一枚噛ん
でます。」


周囲の目付きが『普段』
から『暴走族』に変わる。
< 23 / 40 >

この作品をシェア

pagetop