心を知っていたなら
負けた時の事なんて、あ
たし達は毛頭考えてもい
なかった。自分たちが一
番強いと信じて止まない
のだから、それは普通だ
ったのだろう。


憧れだったまさみさんを
潰しにかかる痛みなんて
、この時は分からなかっ
た。ただ漠然とあたしの
頭の中を支配していたの
は、『制裁』の二文字だ
った。


「ありがとうございます
副総長。ケリつけましょ
うや、今回で。」

「あんたが頼りやからね
嘉穂…しっかりやりや」


煙草を加えて単車にまた
がり、片手をひらひらさ
せて副総長は走り去った。


「副総長の命令通り、3
日以内に潰しにかかるよ
。どんな理由があっても
、この喧嘩から逃げるの
は許さん。逃げたらケジ
メ、取ってもらうからな
、狂恋嘩に残りたい奴は
気合い入れてきな!!あた
しが勝ち星あげさせたる」


黙ってあたしの言葉に聞き入っていた他のメンバーから、返事が返ってくる。


「明後日の夜9時、ここ
に集合。頭切って行くの
は特攻隊。後は付いてき
な。特攻服忘れんやない
よ。そんじゃ解散!!」


本当言えば、あたしの膝
は笑ってた。まさみさん
を潰すのは誰なのか、本
当に自分にそんな事でき
るのか。喧嘩どうこうじ
ゃない、そんな事はどう
でも良かった。
< 25 / 40 >

この作品をシェア

pagetop