心を知っていたなら
朝の光が妙に嫌味ったら
しかったのを覚えてる。
あの時は美也子に止めら
れた事も、美也子の親の
態度も、全てがムカつい
て怒りをぶつける場所が
無くて。自分で自分を押
さえられなくなっていた。


早朝ってこともあって、
帰路には誰も居なかった
。いるのは妙に苛立って
、赤い特攻服をきた、ど
こからどう見ても手に負
えない不良娘。


気付くと家の前まで来て
いて、更に憂鬱になる。
玄関を開ければ、またお
小言地獄が始まる。あた
しは必要性の無い人間だ
と無理矢理理解せざるを
得ない空間が待っている。


大きく息を吸い込んで、
玄関を開けた。じいちゃ
んもばあちゃんも寝てい
るのか、物音はしない。
グレだした最初の頃は、
夜の9時をまわれば五月
蝿いくらい電話してきた
のに最近は電話もかかっ
て来ない。


「あ-…疲れた-…気持
ち悪いわあ-」


一人で布団の上に転がっ
て、テレビをつけると朝
のニュースがやっていて
、昨日の夜中にこんな事
があっただの何だのって
、けたたましく報道して
いた。
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