心を知っていたなら
あたしは、独りだと再認
識したのがこの時だった。


「嘉穂いるのー?」


突然勝手口から声が聞こ
えて振り返ると、春馬お
じさんの奥さん…つまり
あたしのおばさんが顔を
覗かせていた。


「しおりおばちゃんか」


顔をすぐにテレビに戻す
。しおりおばさんは、し
おりおばさんだけは、あ
たしの味方的存在の人で
守ってくれるわけでもな
いし応援してくれるわけ
でも無かったけど、影で
色んな話を聞いてはアド
バイスをくれた。


「また朝帰りやて?あか
んやん、ばあちゃん困ら
せたら。はい、お土産の
ケーキ。」


ケーキの箱を部屋のテー
ブルに置いて、あたしの
横に座った。


「別に困ってもないやろ
あの人は。あたしゃ身内
の疫病神やから」

「馬鹿言いな。言わんだ
けやわ。じいちゃんもば
あちゃんも、嘉穂の事大
切やから冷たく当たるん
やで」


全く理解できなかった。
大切に思っているなら、
あんな扱いはない。


「一人だけ出来悪いから
な。誰に似たか知らんけ
ど。」
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