心を知っていたなら
擦れた目付き、鋭い眼光
と小さい体から放たれる
鬼気とした雰囲気…


出会ってすぐに、同類だ
と気が付いた。周りに溶
け込む事もせず、煙草を
ふかして周囲を睨み付け
ては『蹴ったくそ悪い』
と呟いていた。


『あたし美也子ってんだ
けど、あんた名前は??』


そうやって声をかけてき
た時に、あたしの全てが
拓けた。


『嘉穂??よろしく』


初めて出来た友達だった
から、舞い上がって暇さ
えあれば一緒にいる。


女同士の友情なんか脆い
もんだって言う奴もいる
けど、あたしらの間は絶
対にそんな事は無い…お
互いにそう言い聞かせて
は、その通りになってき
た。


『あたし、親が滅茶苦茶
でさ。嘉穂しかいねえん
だよ、支えが。』


そう打ち明けてきたあの
日、美也子の事だけは本
気で守ろうと思ったのに。


なのに、あたしは…


『もうええよ、嘉穂。』


さっきの美也子の声が脳
裏を掠めていく。
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