心を知っていたなら
「嘉穂!!嘉穂!!起きなさ
い!!嘉穂!!」


ばあちゃんの怒鳴り声で
目が覚めた。時間は朝七
時。


「うるさいて…何??」

「朝やから。起きな。」

「夜中まで仕事やのに何
でこの時間に起きないか
んの。寝るから出てって
や。」


吐き捨てるように言って
布団を頭まで被る。する
とばあちゃんは逆上して
また怒鳴る。


「水商売みたいなもんな
せんとけって、ばあちゃ
ん言ったやろ!!自分でや
りだした事棚にあげて、
何や!!その態度は!!」


いちいちカチンと来る。
嫌いじゃないが、ばあち
ゃんと話すのは正直、嫌
である。


「じゃあ言うけどさあ…
あたしがスナックやって
稼いできたお金を大なり
小なり貰ってんの、誰?
しょ-み、うちもう一人
で住んでるし、ばあちゃ
んに金払う義理無いんや
けど?」


布団から顔だけ出して、
あたしなりの正論を叩き
つけてやる。


「こうやって実家帰って
来て、寝てるんは誰!?」


ほら来た。ばあちゃんは
結局、自分の言った事な
んざすぐに忘れて、あた
しを責める。


「あたし別に帰ってこん
でもええんやで。ばあち
ゃんが帰ってこい、帰っ
てこいって、やかましい
んやろ」


言い返している内に目も
覚めてくる。
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