いなくなる
「・・・隆志・・・隆志・・・」



・・・どこかで自分を呼ぶ声が聞こえる?・・・



「隆志!隆志てば!」


雅樹が後ろを向いて、隆志の肩を掴み揺り動かしていた。


「・・・えっ? お、おう! ど、どうした?」


「いないんだ!」


「いない?」



隆志は雅樹から、いないと言われ思わず自分の隣の稔と、雅樹の隣の幹男を確認してしまった。



稔は先程の自分と同じように睡魔と戦っている。



幹男は、自分と雅樹のやりとりを気にして、こちらを見ていた。


「・・・いないって?・・・稔も幹男もいるじゃないか?」



「そうじゃない!そうじゃなくて!前の授業からいなくなっていた5人と合わせると
10人の生徒がいないんだよ!」




隆志は、先程の雅樹のように、教室を見回し確認していく。


「・・・本当だ。10人がいない・・・?」



自分の左斜め後ろの1人と雅樹の隣の窓側の2人、そして、一番前の席の廊下側の2人が、いない・・・?



「・・・また5人・・・?」



前の授業と合わせると10人。




いつの間にかクラスの1/3が、いなくなっている・・・
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