いなくなる
「ちょ! ちよっと待てって利沙! いったい何があったんだよ?」


「何があったじゃないわよ!美奈の叫び声が聞こえたから駆け付けてみたら、コイツが立っていて・・・立っていたから・・・だから・・・?」


状況を説明できない利沙は言葉に詰まる。


「・・・お前また、後先考えず行動したな!」


利沙に打たれた頬を、手のひらで抑える雅樹を見て隆志は利沙に言った。


「後先も何もないでしょう!コイツが美奈に変なことするから」


「えっ!」



頬を押さえている雅樹と、閉められたカーテンの向こうにいる美奈の二人が同時に声を出した。


慌てて、カーテンを開けて美奈が言う。


「利沙!違うよ!私何もされていないよ」


「えっ!そうなの?」


雅樹も頬を押さえながら何度もうなずいていた。


隆志はあきれながら利沙に向かって言った。


「やっぱりな!利沙は考えるより先に行動するから・・・」





・・・隆志に、考えるより先に行動するなどと言われる利沙って子はどういう子なんだ・・・?



幹男は利沙の横で頬を押さえて立っている雅樹を見て理解した。




・・・うわー!やっぱ恐い子なんだ・・・
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