いなくなる
「雅樹は、休んでいけよ。お前、本当に顔色悪いぞ?」


「そうしなさい、少し休んでから授業に戻ればいいんだから」


隆志と小沼の言葉に、自分が取り乱していることに気づき、冷静さを取り戻すためにも
少し休んでいこうと雅樹は二人の言葉に従った。


「・・・解りました、そうします」


「よし!それじゃ俺らは戻るから」



廊下で利沙と美奈の後姿を見送る幹男の頭を軽く叩く隆志。


「ほら!教室に戻るぞ。ボケッとしてんなよ!」


隆志は教室に向かい走り出して行く。


その後を幹男が慌てて追いかけて行った。





「それじゃ私は、職員室に用があるから、高橋くんは、ベッドで横になっていなさい」



「・・・あっ、はい」



小沼が出て行った後、雅樹はベッドに横になった。



先ほどまで美奈が寝ていたベッドである。




美奈の残り香が、雅樹の張り詰めていた心を優しく和らげてくれる。





「・・・この香りは・・・あの子の・・・香りか・・・」






雅樹は、美奈の優しい残り香に包まれながら、いつのまにか眠ってしまった。
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